振り込め詐欺「出し子」に堕ちた19歳を救え〈後編〉
もう戻る必要はない。自首をした少年は。
■自首をすすめる
今、警察にいけば自首扱いになり罪が軽くなること。
少年院に行くかもしれないが、20歳を過ぎて逮捕されてしまえば前科になること(当時の新之助は19歳になったばかり)。
彼を誘った先輩たちを裏切る形になることはとても怖いと思うが、今ここで縁を断ち切ることができなければ、一生使い走りになること。
勇気をもって反省してほしいこと。
…どれぐらいの時間がたっただろうか。新之助は、自首、そして悪い仲間とは金輪際付き合いしないということを約束してくれた。
新之助の話をまとめると、
もともと彼は地元の先輩に、内装関係の仕事があると誘われ上京してきた。しかし、実際は内装の仕事などはほとんどなく、振り込め詐欺の「出し子」役をやらされていた。当の本人は日当が高い仕事、というくらいの認識しかなく、最初は自分が振り込め詐欺に手を染めているとは思っていなかった。5、6人で寮生活をおくっていたが、そこでは常にお互いが監視状態に置かれ、幹部役の人間には「君たちは、少年法で守られている」「捕まったら有能な弁護士をすぐにつける」「裏切者は死をもって償うしかない」などと言われ、洗脳状態にされていたようだ。